仙台 鐘崎の笹かま館と七夕ミュージアム

 

仙台と言えば?と聞かれたら、まず私は牛タンとずんだ餅と笹かま。あとは七夕祭と答える。
そのうちの2つが一度に楽しめる施設が仙台市内にあるのをご存知だろうか。

その名も「笹かま館」と「七夕ミュージアム」。

私はこのようなご当地にある、特産品や伝統行事の博物館や資料館が大好きなので、
今回の仙台に訪れた際にはどうしても行きたかった場所なのです。
お祭りの開催日に合わせてその土地に行ければいいのだけど、そう上手くいかないので、
このように関連する資料を展示してくれている施設の存在は本当にありがたい!

仙台駅から公共交通機関で「鐘崎 笹かま館」に行くには、地下鉄とバスを利用して行くのですが、
このバスが1時間に1〜2本しかないので要注意。
ちなみに私が最寄り駅についたときには、前のバスが行ってしまった直後で次のバスが来るのは1時間後。
マップアプリで調べてみると、駅から徒歩20分くらいで行けるみたいなので、天気も良いので歩いて向かうことにした。

「笹かま館」は笹かまの会社、株式会社鐘崎さんの総本店に併設されていて、
正確には、笹かま館と七夕ミュージアムをひっくるめての「鐘崎 笹かま館」という名前。

今回の訪問日はお正月の三が日だったけれど、笹かま館はばっちり営業中とのこと。
ありがたみを噛み締めて歩いていくと、鐘崎の文字が見えてくる。
入り口には笹かま館とかかれた暖簾に、正月の門松としめ縄が装飾されてお正月仕様になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

笹かま館は2019年にリニューアルされたらしく、館内は新しくとてもきれいだった。
入り口から鐘崎の商品が並ぶショップを抜けると、笹かまを味わえるカウンターの店があり、
そこではガラス越しに職人さんが中で笹かまを作っている様子を見ることができる。
ちなみにこのカウンターでは宮城の日本酒と笹かまを味わうことができるのだが、コロナのため休店中であった。

大きな機械ですり身らしきものを練っている様子が見えた

 

カウンターの両脇にある階段を上がって2階に行くと、笹かまの顔出しパネルがお出迎え。
その名も、ぷっくらくん!!

顔出しパネルの多くは、板に絵が描いてある作りが多いが、このぷっくらくんはすごい。
精巧に作られた笹かまのオブジェに顔出し部分がくり抜かれているのだ!
しかもうまい具合に胴体が笹かまに隠れるため、きれいに笹かまと同化した顔出し写真が撮れる。
またご丁寧に日付パネルまで設置されているので、笹かま館に来館したらぜひ記念撮影してほしい。

シワまで再現されているぷっくらくんは妙にリアル 

 

2階には食事処、工場見学、笹かま手作り体験のブースがあり(これらは全て予約制)、
ちょうど子供たちが楽しそうに笹かまを作っていた。
そして「ギャラリー」と「藤城清治メルヘンサロン」も併設されている。

「ギャラリー」には鐘崎の商品や広告のイラストを描いていたおおば比呂司さんの作品が展示されていて、
鐘崎のイラスト原画や、旅先の絵などを見ることができる。
館内の壁画やトイレにも、おおば比呂司さんの絵で装飾されていた。

私はおおば比呂司さんのことをあまり存じ上げていなかったのだが、
あの有名なホテイの焼き鳥缶詰や山陰のどじょう掬いまんじゅうのパッケージを描かれていた方であった。
札幌の大通り公園にある札幌市資料館の中に「おおば比呂司記念室」があることも知った。
札幌に行く機会があったらぜひ立ち寄りたいものである。

 食事処の入り口にある伊達政宗の甲冑とおおばさん壁画 

 

「藤城清治メルヘンサロン」には横15メートルの巨大な壁画作品や、
東日本大震災後に宮城を訪れて描かれた作品などが展示されていた。
この巨大壁画には2300匹もの魚がいて、それを一つ一つ人がカットして作り上げた作品だと思うと尚更凄みが増した。
以前、私は那須にある藤城清治美術館で、防護服を着て被災地をスケッチする藤城清治さん(当時88歳とか)の映像を見て衝撃を受けていた。
コロナ禍のときも、また作品を見に行きたいなと思っていたので、今回思いがけず目にすることができてとても嬉かった。

 

展示を堪能して1階に戻り、ショップで鐘崎の商品を見ていると素敵なパッケージの商品を発見!
伊達政宗の兜の絵が描かれた「伊達揚げ」という笹かまを揚げた商品。フィリップ・ワイズベッカーさんの絵だった。
ワイズベッカーさんの手にかかると兜もこうなるのか〜と惚れ惚れして購入。
(ちなみに鐘崎の笹かま製品は全て化学調味料無添加!)

また笹かま館にはカフェもあり、笹かまを推したメニューが色々あった。
一番驚いたのはソフトクリームに笹かまが刺さった「元祖SASAそふと」。
笹かまでソフトクリームをすくって食べるのがおすすめなんだとか。
他にも、笹かまがふんだんに乗ったパスタや、焼き炉の上で自分で笹かまを焼いて食べられるぷっくら焼きなど。
普段脇役にされがちな笹かまが主役になっていて、笹かま愛を感じた。

 

 

堪能したところでお隣にある七夕ミュージアムに移動。

七夕ミュージアムでは「仙台七夕まつり」の七夕飾りを直に見ることができる。
間近で見ると七夕飾りは結構大きく迫力があった。しかし、紙で作られた装飾がなんとも素朴で可愛らしかった。
(予約制だが七夕飾りの手作り体験もできる)
そして鐘崎の七夕飾りにはやはりおおば比呂司さんの絵が描かれていた。

 

また、七夕まつりの歴史に沿った七夕飾りや歴代のポスターの展示もある。
七夕まつりは伊達政宗公が推奨して始まり、昭和から次第に今のような派手な装飾になっていくのだけど、
その経過を知ることができてとても面白い。

七夕まつりの歴代のポスターは当時の流行りだったのだろうと思われるデザインが、今見るととても斬新で、
特に70年代後半〜90年代あたりポスターはバッキバキでものすごいパワーを感じた。
アングラの演劇ポスターかと思うようなものもあった。

笹かまだけじゃなく、文化とアートも楽しめる笹かま館。
ここに来たら、来る前よりも笹かまのことが好きになると思います。